ジムニーに特化。キッカケは故障車牽引用で購入した「三菱ジープ」で知った四駆の楽しさ。
【4月7日インタビュー】アピオ株式会社 尾上 茂 会長【左】河野 仁 社長【右】に色々お話をお伺いさせて頂きました。
1988年からはお店の業態をジムニー専門店に特化。
2002年7月にはプロショップアピオをオープン。
軽自動車で非力なジムニーも、足回りにがっちり手を入れれば普通車の四駆を凌ぐほどの走破性を発揮します。
プロショップ内にはリーフスプリングをはじめ、様々なジムニーパーツが所せましと並んでおります。
見ているだけでも楽しいので、ぜひ皆さんもお気軽にご来店、心よりお待ちしております。
創業は1969年6月、整備業からスタート。普通車~大型車整備をやっておりましたが、1988年からジムニー専門店に特化。
(河野社長【以下:社長】)当社の創業は1969年6月です。現会長・尾上茂が有限会社尾上自動車を創立しました。そのあたりは会長に直接お話ししていただいた方が良いかと思いますのでバトンタッチします。
(尾上会長【以下:会長】)
創業時は整備業からスタートしました。普通車から当時は大型車まで整備を行っておりましたが、昭和40~50年代は車の故障も多く、また当時はまだ飲酒運転の規制も緩かったので、酔っぱらって車が田んぼの中に落ちたなんて事もよくあり、故障車牽引用で「三菱ジープ」を購入したんですが、これが乗ってみると面白いんですよ。どこへでも行けちゃいますし、当時、湘南~平塚の海岸へよく走りに行きました。そんなある日、海岸で、気持ちが良くて車の中でお昼寝をしていたら、潮が満ちてきて危うく砂浜から脱出出来なくなりそうになって「そうか、四駆の遊びっていうのは、1人で行ったら危ないな」と思い、四駆遊びの仲間が欲しくなりました。そこで、当時まだ創刊したばかりの4x4マガジンの四駆のクラブのメンバー募集の記事を見つけて応募、四駆のクラブに入りました。
仲間と買った、パワーも無くてどうしようもない車「ジムニー」。
しかし手を入れたら驚く程オフロードに強い車に変身。
こうして集まった四駆仲間の1人にジムニーが大好きなのがいまして「尾上さんは車屋だから、何台かまとめて買うと安くなるのでは」という話が持ち上がり、仲間でまとめて三台のジムニーを購入しました。しかし、いざ走ってみるとこれがパワーが無くてどうしようもない車でした。富士山の須走の砂地のヒルクライムとか、ジープだったらガンガン登れるような所もジムニーではほんのちょっと登って終わり。いっそのこと売ってしまおうかと思ったんですが「待てよ、もしかしたら改善したら走れるようになるかなぁ」と考えて、色々手を入れてみました。リーフスプリングを柔らかめに作ったり、ショックアブソーバーも純正じゃなくて適合するロングのものに換装してみたり。そうしたら驚いた事に、すごく走れるようになったんです、スピードは出ないけどトコトコ登ってっちゃうようになってジープに匹敵するぐらいの難所も行けるようになったんです。その時思いました「こいつは商売になるぞ」と。
ニッパツへ「ジムニー専用リーフスプリング」の話を持ちかける。
苦労の開発の末、見事大ヒット。ジムニー専門店として有名に。
こうしてジムニーを手がけるようになってしばらくして、ニッパツ(NHKニッパツ)へジムニーに特化したリーフスプリングの開発の話を持ちかけました。まあ一介の修理屋が持って行った話ですから難航はしましたが、口座の問題なども懇意の部品商さんが仲介してくれたりして、ようやく「50セット(200本)作るのならばOK」という条件までこぎつけました。こうして作ったスプリングなのですが、これが素晴らしく性能が良くて、もともとニッパツさんがミニバン用に開発した「テーパースプリング(複数の板を重ねるのでなく一枚で端にいくにつれて厚さが細くなる板バネ技術)」を使ったものでしたが、すぐに火が付き爆発的に売れて二ヶ月で完売しました。その後、カヤバ、トキコ、ニッパンといった有名メーカーさんとも様々協力していただき。徐々に雑誌等でも「ジムニー専門店」として取り上げられる機会が増えてゆきました。
お客様にも従業員にも、そして何より自分に「夢」を与える『モータースポーツ』への挑戦
さまざまなモータースポーツへの挑戦の意欲は衰えず
現在も毎年ラリーモンゴリアへジムニーで参戦しています。
パリダカでも有名なラリードライバー菅原義正氏とは同じTEAMアピオの盟友でありライバル。パリ・ダカから続く絆です。
車にはいつの時代も「夢」をもって欲しい。そういう思いからジムニーを通した様々な遊びを紹介する
(ジムニーライフ)
納車の際にお客様に進呈するトラベラーズノート、店内にあるサンプル本には河野社長自ら描いた林道旅行のスケッチも。
正確な計測値が得られるダイナパックパワーテスターで性能を繰り返し検証。トライ&エラーを重ね、ジムニーにとってベストブレンドと言えるオイルが完成しました。
開発~販促活動の一環というより、もともとは自分が好きだったので始めた『モータースポーツ』
【会長】昔からレースにとっても興味があって、最初に参加したのは日本四輪駆動車協会が富士スピードウェイで開催していたオフロードコースのJFWDA戦です。2,000cc以下クラスにジムニーで参戦したのですが二年目でクラス優勝をしちゃいました。それも軽のジムニーで2,000ccクラスを相手にです。痛快でした。そのうち国内では飽き足らず最初はグアム島のレースに参加、そこでもいきなり3位に入りました。次にカリフォルニアからメキシコの区間で行われるBAJA1000に挑戦、さすがにこのクラスになってくるとジムニーでは車が持たなかったので断念。そこで参加マシンをエククードに替えてオーストラリアサファリに参戦、なんといきなり1,800cc以下でクラス優勝、その後5年連続でクラス優勝、最後の時は総合で6位でした。
この頃、ウチの奥さんに「お父さん、ラリーやってるっていうんだたったらパリダカぐらい行かないと話にならないんじゃない?」ともいわれまして、いよいよ満を辞してパリダカへ挑戦しました。
さすがに甘くはなかった世界最高峰パリダカ。しかし諦めず9年連続出場。近年はジムニーでラリーモンゴリアにも毎年参戦。
1997年いよいよパリダカへ挑戦を始めたわけですが、さすがに世界最高峰のパリダカ、甘くはなかったですね。毎年四輪車160台中多いときで40台ぐらいの完走率という過酷なラリーで、完走したのはたった三回、最高位総合45位、それでも諦めず9年間チャレンジし続けました。近年ではパリダカでも有名なラリードライバー菅原義正氏とともにTEAMアピオとしてラリーモンゴリアに2008年から毎年参戦しています。もちろんレース活動はアピオの商品開発へのフィードバックのため、あるいは販促活動の一環でもありますが、一番は自分がレースが好きだと言う事。こうした活動を行っていると有り難い事に「同じ夢」をもってアピオで働きたいという若い人材も集まってくれるし、これからも続けて行きたいと思います。
子供の頃から憧れていた篠塚建次郎さんや菅原義正さんと携帯電話でお仕事の話をするなんて夢にも思いませんでした。【社長】私が尾上会長に出会ったのが1994年、ロシアンラリーで知り合ったのがキッカケです。子供の頃からラリーが大好きでテレビで観てましたのでブラウン管越しの憧れの人だった篠塚建次郎さんや菅原義正さんと、大人になってまさか携帯電話でお仕事の話をするなんて夢にも思いませんでした。今は、我々の子供のころと違ってテレビで車が活躍したりシルクロードに行ったり秘境を冒険するような番組がめっきり減ってしまいましたが、ならば我々が自ら車にまつわるいろんな種類の遊びをみせてあげるのが必要ではないんでしょうか。例えば普通の車では行けないようシーンでの遊び方、そういうものを見せてあげるという意味で、当社のホームページで【ジムニーライフ】というページを用意して、ジムニーを通したアウトドアライフから全国の名所/グルメめぐりを数多く紹介させていただいております。
【アピオHP(ジムニーライフ)はこちらから】
おすすめのアピオオリジナル・ジムニー専用オイル。
ROADWINエンジンオイル・エントリーキット。
【会長】この機会におすすめなのが、アピオオリジナルで開発したROADWINエンジンオイル・エントリーキットです。3リッターで6,600円します。高いですよね。でも使ってみれば分かりますが普通の純正オイルに比べて、その性能の差は歴然です。現行ジムニーはダーボ付きでオイル温度も相当上がります。だからと言って固いオイルを使うと摩擦係数も上がるからパワーが出ない。そこでオイル会社と共同でこのオリジナルオイルを開発しました。オイルフィルターもオリジナルで開発。専用のレンチまで付いているのでオイル交換に不慣れな方でも扱いやすいキットになっています。ジムニーにはもちろん最適なのですが、同じ軽でエンジン特製が近いコペンとかカプチーノとかのオーナーの方からも人気のあるオイルで、実際ユーザーさんからは、カー用品店で売っている、もっと高価なオイルよりもこちらの方が良かったというお声も頂いております。おかげ様で売れ行きも好調、なにせ私自身がレースで性能を実証してますし、ここだけの話ですが他のオイルを使っていたTEAMアピオの菅原義正さんにもこのオイルのお陰でレースではリードを稼げたぐらいですから(笑)皆様もぜひ一度お試し下さいませ。